シボ修理 その他
概要
金型表面にシボと呼ばれる凹凸を付けることで、プラスチック製品に上質感を出すことができます。シボには、皮革(ウロコ)、梨地、幾何学模様等の種類があります。これらのシボ表面は、共通して非常に敏感です。そのため射出成形金型へのシボ加工においては、細かな注意点が多く存在します。
注意すべきトラブルとその前兆
- 製品がキャビ側に取られてしまう
- 金型シボ面にサビやキズが発生
- シボをかけた面が部分的にムラになる
シボを入れたがゆえに発生してしまうトラブルとしては、シボのせいで製品が一部キャビ側に取られてしまうことが挙げられます。これは、シボの凹凸によって細かいアンダー形状が発生してしまい、擦れの原因となってしまうためです。
また、シボ面を触る時に気にせずに軍手やウエス等で拭いてしまった場合には、金型シボ面にサビ、キズがついてしまいます。
シボを掛けた一般面が部分的にムラになってしまうことも多くあります。これは、溶接部分を含むシボ加工の際に、一部面に熱が加わるため、一般面と溶接部で硬度ムラが発生してしまうためです。
トラブルが与える影響
- シボ面のサビやキズにより製品部に模様が発生
- 不良品の発生、生産ストップ
シボ面にサビやキズがあると、製品部に模様が生じてしまい、不良品となってしまいます。また、シボにより製品の一部がキャビ側に取られたり、シボ面にムラがあると、これも不良品につながってしまいます。
シボ面は一般的に製品のなかでも意匠面に該当します。そのため、外観的にNGとなり、生産ストップにつながってしまいます。つまりシボ加工時は細心の注意を払って行わなければいけません。また、上記のようなトラブルが発生しないようにシボ加工後のメンテナンスにも配慮する必要があります。
トラブルの対処法
- 推奨テーパーに合わせてシボ加工する
- ガラスビーズ等でシボ面を滑らかにする
- サビやキズが発生している箇所に磨きをかけてから再シボ加工
- 硬度ムラを無くしてからシボ加工する
- シボ面の清掃時は柔らかいティッシュで拭く
シボの凹凸によって細かいアンダー形状が発生してしまい、擦れの原因となっている場合は、原因となっている抜き勾配不足を解消する必要があります。方法は大きく2つあります。まずは、金型製作時にシボ番手を確認して、推奨テーパーによるシボ加工を行うことです。2つ目として、シボを掛けてしまってから擦れが出てしまった場合は、ガラスビーズ等をかけて凸凹になってるシボ目を滑らかにする方法です。後者の場合、表面に光沢が出てしまいます。一般的にシボの目的はマットのため、当社ではお客様に製品の使用用途やご希望をお伺いの上、最終判断をいたします。
サビやキズがある場合は、まずは磨き加工を行って不良品が発生する原因を除去してから、再度シボ加工をする必要があります。また一般面と溶接面がある場合は、一度熱処理で硬度ムラを無くしてから、再度シボ加工をする必要があります。
シボ面の清掃時は、軍手やウエスは使わず、柔らかいティッシュで拭くのが推奨されます。