

バリとは、金型の製品部分からはみ出した余分な樹脂のことを指します。プラスチック部品の成形時に発生するもので、金型の合わせ面の隙間から樹脂があふれることによって生じます。
バリの発生は大きく3つの影響を与えます。
①品質低下と2次加工:
バリの除去は、多くの場合、人による作業となります。これにより、製品の仕上がり精度にばらつきが生じるだけでなく、作業工数が直接、コストの増加に繋がります。また、無理なバリ取りは製品本体を傷つける原因にもなります。
②サイクルタイムの悪化:
バリが金型内部に噛み込むと、円滑な型開きや製品の突き出しを阻害し、サイクルタイムの遅延を招きます。また、金型を開閉するたびにバリがPL面を傷つけるため、バリの発生量が徐々に増えていくという悪循環に陥ります。
③金型寿命の低下:
発生したバリがPL面に挟み込まれると、硬い樹脂がヤスリのように金型の合わせ面を削り取ります。これによりPL面に微細な傷や凹みが発生し、さらにバリが出やすい状態になります。この状態を放置すると、最終的には溶接修理など大掛かりなメンテナンスが必要となり、金型の再製作が必要になる場合があります。
バリ発生の原因と対策
原因①:PL面の摩耗・損傷
最も一般的で直接的な原因が、金型の分割面であるPL面の摩耗や損傷です。金型は数万~数十万ショットという過酷な環境で使用されるため、長年の使用によってPL面は徐々に摩耗していきます。最初は小さなバリでも、それを放置することでPL面の損傷が拡大し、さらに大きなバリを生むという悪循環に陥るため、早期の発見と対処が不可欠です。
原因②:スライドや可動部の隙間不良
金型は、PL面だけでなく、製品の複雑な形状を成形するためにスライドコアや入れ子といった多くの可動部品で構成されています。これらの部品同士にも、摺動するための適切な隙間が設けられていますが、摩耗によってこの隙間が設計値以上に広がってしまうと、バリの発生源となります。特に、製品の側面や内側に発生するバリは、これらの可動部の不良が原因である可能性が高いと言えます。
原因③:成形条件の不適合
金型自体に問題がなくとも、成形条件が不適切であるためにバリが発生するケースも少なくありません。
代表的な例は以下の通りです。
型締力不足: 充填される樹脂の圧力に対して、金型を締め付ける力が不足し、PL面が押し広げられ、バリが発生します。
射出圧力・保圧の過多: 樹脂を金型内に送り込む圧力が強すぎると、金型を押し開ける力も当然強くなり、バリ発生の原因となります。
樹脂温度の過熱: 樹脂温度が高すぎると、粘度が下がり、通常では入り込まないような僅かな隙間に樹脂が侵入し、バリが発生します。
対策①:成形条件の見直し
バリの発生が軽微である場合や、新品の金型でバリが出る場合、まずは成形条件の見直しを試みることが有効です。これは、金型自体には問題がなく、成形条件とのミスマッチが原因である可能性を探るための一次対応です。
型締力: 現在の型締力が、使用している成形機の最大型締力の80%以下であれば、少しずつ上げてみる。
射出圧力・保圧: バリが発生しない範囲で、射出圧力や保圧を段階的に下げてみる。ただし、下げすぎるとショートショットやヒケの原因となるため、品質とのバランスを見極める必要があります。
樹脂温度・金型温度: 樹脂の流動性が高すぎると感じられる場合は、樹脂温度や金型温度を適正範囲内で下げ、粘度を上げる調整を行います。
バリの発生を未然に防ぎ、金型の寿命を延ばすためには、日々のメンテナンスが欠かせません。特に、ガスベント、PL面の清掃が必要です。
バリが発生してしまった場合は、金型の修理が必要となるため、プラスチック金型メーカーや修理業者にオーバーホールから依頼しなければいけません。
当社では、高精度な手仕上げによるバリ修理も行っておりますが、測定を通した金型の図面化による修理や改造にも対応しております。
図面がない金型の修理や改造についてお困りの方も、ぜひプラスチック金型メンテセンター.comまでご相談ください。
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