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射出成形で発生するガス焼けとは?原因と金型の修理・対策方法を解説

射出成形で発生するガス焼けとは?原因と金型の修理・対策方法を解説 | プラスチック金型メンテセンター.COM

「成形品の一部が黒く焦げたように変色する」「いつも同じ充填末端で焼けが発生する」「成形条件を調整しても症状が改善しない」——このような不具合は、金型内に残った空気やガスが原因で発生する「ガス焼け」の可能性があります。

ガス焼けは、樹脂そのものが単純に加熱されすぎて焦げる現象とは限りません。金型内で逃げ場を失った空気やガスが急激に圧縮され、高温になる「断熱圧縮」によって発生することがあります。

そのため、成形品の焦げた部分だけを見て成形温度を下げても、金型内のガス排出経路に問題が残っていれば、症状が改善しないことがあります。本記事では、プラスチック成形金型の修理・メンテナンスを行う弊社の経験をもとに、ガス焼けが発生する仕組みや原因、金型側で行う修理・再発防止策について解説します。

1. 射出成形で発生するガス焼けとは?

ガス焼けとは、射出成形時に金型内の空気や樹脂から発生したガスが逃げ場を失い、急激に圧縮されて高温になることで、成形品の一部が黒や茶色に変色する現象です。

射出成形では、金型のキャビティ内に存在する空気を押し出しながら、溶融樹脂が内部へ充填されます。通常は、パーティングラインに設けられたガスベントや、入れ子・エジェクターピン周辺の隙間などから空気やガスが金型外へ排出されます。

しかし、ガスを逃がす経路が不足していたり、ガスヤニによってガスベントが塞がれていたりすると、空気やガスがキャビティ内に閉じ込められます。そこへ溶融樹脂が高速・高圧で流れ込むことでガスが急激に圧縮され、局所的に温度が上昇し、成形品に焼けが生じます。

ガス焼け発生の基本的な仕組み

金型内の空気やガスが逃げ場を失い、急激に圧縮されて超高温になる「断熱圧縮」現象が、ガス焼けの主な原因です。

ガス焼けが発生する流れは、次のように整理できます。

溶融樹脂が金型内へ流入する → キャビティ内の空気やガスが充填末端へ押し込まれる → ガスの排出経路がなく、内部に閉じ込められる → ガスが急激に圧縮されて高温になる → 樹脂が焦げ、成形品に黒色や茶色の変色が生じる

2. ガス焼けが発生する主な原因

ガス焼けは、単に樹脂からガスが発生しただけで起こるものではありません。発生したガスが金型外へ排出できず、特定の場所に閉じ込められることで生じます。

ガスベントが不足している

ガスベントは、金型内の空気やガスを外部へ排出するために設けられる、非常に小さな空気抜き溝です。

製品形状や樹脂の流れに対してガスベントの位置や数が適切でない場合、空気やガスが十分に排出されず、充填末端などに残ることがあります。

特に、金型製作時に想定していた樹脂の流れと実際の充填状態が異なる場合は、既存のガスベントだけでは排出能力が不足することがあります。

ガスヤニによってガスの排出経路が塞がれている

金型にガスベントが設けられていても、ガスヤニが堆積すると、細い排出経路が徐々に塞がれていきます。

ガスヤニとは、加熱された樹脂から発生した揮発成分や熱分解物が、金型内で冷やされて固化・堆積した付着物です。ガスベントやガス溝にガスヤニが詰まると、本来は金型外へ排出されるはずの空気やガスが内部に残り、ガス焼けにつながります。

ガスヤニによってガスの逃げ場が塞がれると、ショートショットやガス焼けが発生する可能性があります。

樹脂の最終充填部にガスが集中している

溶融樹脂が金型内へ流れ込むと、キャビティ内の空気は樹脂に押されながら移動します。そのため、樹脂が最後に到達する最終充填部には、空気やガスが集まりやすくなります。

最終充填部の近くにガスベントがない場合や、ガスを金型外へ逃がす経路が不足している場合は、ガス焼けが発生しやすくなります。

成形品の同じ場所に繰り返し焦げ跡が現れる場合は、その位置が最終充填部になっていないか、周辺に十分なガス排出経路があるかを確認する必要があります。

リブ・ボス・深い袋形状にガスが滞留している

細いリブの先端、ボスの底部、深い袋形状などは、空気やガスが奥へ追い込まれやすい形状です。

パーティングラインから離れた場所では、通常のガスベントだけではガスを外部へ排出しにくいことがあります。このような場合は、入れ子構造への変更やガス抜きピンの設置など、製品形状に合わせたガス排出方法を検討します。

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3. ガス焼け・ガスヤニ・ガス腐食の違い

ガスに関係する金型トラブルには、ガス焼けのほかにガスヤニやガス腐食があります。いずれも樹脂から発生するガスが関係していますが、金型や成形品に起きている現象は異なります。

ガス焼け

発生している状態:閉じ込められた空気やガスが急激に圧縮され、高温になる
主な特徴:成形品の一部が黒や茶色に焦げたように変色する

ガスヤニ

発生している状態:揮発成分や熱分解物が金型内で冷やされ、固化・堆積する
主な特徴:金型表面やガスベント周辺に茶色・褐色の付着物が見られる

ガス腐食

発生している状態:樹脂から発生したガスによって金型の金属表面が腐食する
主な特徴:金型表面が削れたり、荒れたりする

ガスヤニとガス焼けは、別々の現象ではあるものの、互いに関係することがあります。ガスヤニがガスベントを塞ぐことで、空気やガスの逃げ場が失われ、その結果としてガス焼けが発生するためです。

したがって、ガス焼けが起きた場合は、焦げが発生した位置だけでなく、ガスベントやガス溝にガスヤニが付着していないかも確認する必要があります。

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4. ガス焼けを放置すると生じる問題

ガス焼けが発生している状態で成形を続けると、成形品の外観不良が繰り返されるだけでなく、生産性や金型の状態にも影響する可能性があります。

成形品の外観不良が繰り返される

ガス焼けでは、成形品の充填末端やリブ先端などに、黒色や茶色の変色が現れます。

外観部品では、わずかな焦げ跡でも不良品と判断される可能性があります。また、焦げの位置が毎回同じであれば、金型内でガスが滞留する場所も固定されている可能性があります。

そのため、成形条件だけを変更して様子を見るのではなく、焦げの発生位置と金型構造を照らし合わせて原因を確認することが重要です。

成形条件の調整だけでは解決しない場合がある

ガス焼けが発生すると、射出速度や樹脂温度を下げることで一時的に症状が軽減することがあります。

しかし、ガスベントの不足や詰まりが根本原因である場合、成形条件を変更してもガスの排出経路そのものは改善されません。さらに、射出速度を下げすぎると、別の充填不良につながる可能性もあります。

金型側の原因が疑われる場合は、ガスヤニの除去、ガスベントの設置、入れ子構造への変更など、ガスを外部へ逃がすための対策が必要です。

ガスヤニの堆積によって症状が悪化する

成形を続けるうちにガスベント周辺へガスヤニが堆積すると、排出経路が徐々に狭くなります。

当初は目立たなかったガス焼けが、成形回数の増加に伴って頻発するようになった場合は、ガスヤニによる詰まりが進行している可能性があります。

定期的な清掃で回復する場合もありますが、短期間で再発する場合は、ガスベントの位置や金型構造を含めた確認が必要です。

5. ガス焼けを改善する金型の修理・対策方法

ガス焼けの修理では、焦げた成形品だけを見て対応方法を決めるのではなく、金型内でガスがどこに滞留し、なぜ排出できていないのかを確認します。

現場では、主に次の4つの方法を検討します。

ガスヤニを除去して既存の排出経路を回復させる

既存のガスベントやガス溝にガスヤニが堆積している場合は、最初に付着物を除去します。

軽度のガスヤニであれば、パーツクリーナーや金型洗浄液を使用した清掃によって除去できる場合があります。一方、金型表面へ強く固着している場合や、入れ子の合わせ面など内部へ入り込んでいる場合は、金型の分解・オーバーホールや磨き直しが必要です。

清掃後は、ガスベントの溝が塞がれていないか、ガスが金型外まで通過できる状態になっているかを確認します。ガスヤニを除去することで既存のガス抜き機能が回復すれば、新たな加工を行わずにガス焼けが改善することもあります。

ガスベントを設置・追加工する

ガスの排出経路が不足している場合は、ガスが集中する位置にガスベントを追加します。

ガスベントは、製品部とガス溝をつなぎ、金型内の空気やガスを外部へ逃がすための非常に小さな溝です。三愛テクノロジーでは、成形する樹脂の種類や製品の肉厚、形状を踏まえ、0.01〜0.02mmを目安にガスベントを加工しています。

ただし、ガスベントを深く加工しすぎると、溶融樹脂が溝へ入り込み、バリの原因になる可能性があります。そのため、単に溝を大きくするのではなく、樹脂の流動や製品形状を確認したうえで、位置・深さ・幅を決める必要があります。既存のガスベントがある場合も、詰まりを清掃するだけでなく、位置や排出能力が適切かを確認します。

入れ子構造へ変更してガスの逃げ道を設ける

一体構造の金型では、ガスが滞留する部分にガスベントを設けにくいことがあります。

このような場合は、ガス焼けが発生している部分を入れ子構造へ変更し、入れ子の合わせ面を利用してガスを排出する方法を検討します。

入れ子構造へ変更することで、パーティングラインから離れたリブ先端や深い形状にもガスの逃げ道を設けやすくなります。また、ガスヤニが付着した際に入れ子を取り外して清掃しやすくなるため、メンテナンス性の向上にもつながります。

一方、入れ子への変更には、金型の強度、冷却回路、製品面への合わせ目の影響なども考慮する必要があります。ガスを抜くことだけを目的にせず、量産時の安定性を含めて構造を検討することが重要です。

ガス抜き部品を設置する

通常のガスベントだけでは排出が難しい場所には、ガス抜きピンやガス抜き用の鋼材、ガス抜きアシストユニットなどの部品を設置する方法があります。

ガス抜きピンは、製品を押し出すエジェクターピンに微細なガス排出経路を設け、キャビティ内の不要なガスを金型外へ逃がす部品です。通常のエジェクターピンからガス抜きピンへ変更することで、パーティングラインから離れた場所でもガス抜き対策ができます。

ガス抜きピンだけでなく、ガスアシストユニット、駒割り、ガス抜き用鋼材など、金型形状や発生箇所に応じた複数の方法をご提案しています。

6. ガス焼けの状態に応じた対策の選び方

ガス焼けが発生したからといって、すべての金型に新たなガスベントを追加すればよいわけではありません。
既存の排出経路の状態や、ガスが滞留している位置を確認したうえで、必要な対策を選びます。

既存のガスベントにガスヤニが詰まっている

既存のガスベントがガスヤニで詰まっている場合は、まずガスヤニの除去・清掃を検討します。清掃を行った後は、ガスの排出機能がきちんと回復しているかを確認することがポイントです。

最終充填部にガスの逃げ道がない

樹脂が最後に流れ込む最終充填部にガスの逃げ道がない場合は、ガスベントやガス溝の追加工を検討します。追加工の際は、樹脂がどのように流動するか、またバリの発生につながらないかを確認する必要があります。

深い形状やリブ先端でガスが滞留する

深い形状やリブの先端部分でガスが滞留している場合は、入れ子構造への変更を検討します。この場合、ガスをきちんと排出できるか、金型強度は保てるか、メンテナンス性は損なわれないか、という3点を確認しながら判断します。

パーティングラインから離れた場所で発生する

パーティングラインから離れた場所でガス焼けが発生している場合は、ガス抜きピンやガス抜き部品の設置を検討します。設置する際は、部品を取り付ける位置と、そこから金型外まで確実にガスを排出できる経路になっているかを確認します。

清掃後も短期間で再発する

清掃を行っても短期間でガス焼けが再発する場合は、金型構造そのものを含めた改造提案を検討します。根本的にガスの排出経路が不足していないかを確認することが重要です。

実際の対応方法は、使用する樹脂、製品形状、成形条件、金型構造、ガス焼けの発生位置などによって異なります。特にガスベントの追加工や入れ子構造への変更は、製品面や寸法、バリの発生へ影響する可能性があるため、金型全体の構造を把握したうえで行う必要があります。

7. ガス焼けを再発させないための確認ポイント

ガス焼けを改善した後は、同じトラブルを繰り返さないための点検とメンテナンスが重要です。

ガスベント・ガス溝を定期的に清掃する

ガスベントは非常に細い溝であるため、少量のガスヤニでも排出機能が低下する可能性があります。

量産終了後や定期点検時には、ガスベント周辺にガスヤニや樹脂が付着していないかを確認します。ガスヤニを放置すると排出経路が塞がり、ガス焼けやショートショットにつながるため、付着量が少ない段階で除去することが重要です。

ガス焼けが発生した位置を記録する

ガス焼けが発生した場合は、成形品のどの位置に、どのような変色が出たのかを記録します。

同じ場所で繰り返し発生している場合は、ガスの滞留位置を特定する手掛かりになります。成形条件、使用樹脂、発生時期、メンテナンス履歴とあわせて記録することで、再発時の原因調査を行いやすくなります。

清掃だけで再発する場合は金型構造を見直す

ガスヤニを除去しても短期間でガス焼けが再発する場合は、既存のガス排出経路そのものが不足している可能性があります。

その場合は、ガスベントの追加、PL面へのガス溝追加工、入れ子構造への変更、ガス抜き部品の設置など、金型側の改造を検討します。一時的に焦げを抑えるだけではなく、ガスが滞留しにくい金型構造へ改善することが、安定した量産につながります。

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8. ガス焼け対策・金型改造は当社にお任せください

プラスチック金型メンテセンター.COMを運営する三愛テクノロジーでは、ガス焼けが発生した金型の清掃だけでなく、ガスベントの追加工、入れ子構造への変更、ガス抜き部品の設置など、再発防止を目的とした金型改造まで対応しています。

SERVICE 01 ガスヤニ除去と既存ガスベントの機能回復

ガス焼けが発生している場合は、既存のガスベントやガス溝にガスヤニが詰まっていないかを確認します。付着状態に応じて、専用クリーナーによる清掃、金型の分解・オーバーホール、磨き直しなどを行い、ガスの排出経路を回復させます。

SERVICE 02 ガスベント・ガス溝の追加工

既存の排出経路だけではガスを十分に逃がせない場合は、成形品の焦げ位置や樹脂の流れを確認し、ガスベントやガス溝の追加工を検討します。バリや製品面への影響を生じさせないよう、製品形状や樹脂に合わせて加工内容を判断します。

SERVICE 03 入れ子構造・ガス抜き部品を用いた改造提案

パーティングラインから離れた位置や、深い形状の内部でガス焼けが発生している場合は、入れ子構造への変更やガス抜きピン、ガス抜きアシストユニットなどの設置をご提案します。

累計5,000型を超える設計・製作実績を活かした根本対策

三愛テクノロジーは、1996年の創業以来、累計5,000型を超えるプラスチック金型の設計・製作実績を有しています。金型の設計・製作から修理・改造・メンテナンスまで一貫して対応しており、自社製だけでなく、図面のない他社製・海外製金型にも対応しています。

ガス焼けによって焦げた部分だけを見るのではなく、樹脂の流れ、最終充填位置、ガスの排出経路、金型内部の状態まで確認し、量産時の安定性を見据えた修理・改造方法をご提案します。

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9. まとめ

ガス焼けは、金型内の空気やガスが逃げ場を失い、急激に圧縮されて高温になる「断熱圧縮」によって発生します。焦げた部分だけを見るのではなく、ガスがどこに滞留し、なぜ排出できていないのかを確認することが重要です。

POINT 01 ガス焼けは断熱圧縮によって発生する

ガス焼けは、金型内の空気やガスが逃げ場を失い、急激に圧縮されて高温になることで発生します。成形品の焦げだけを取り除くことはできないため、ガスがどこに滞留し、なぜ排出されていないのかを確認する必要があります。

POINT 02 まずはガスヤニと既存の排出経路を確認する

ガスベントやガス溝が設けられていても、ガスヤニによって塞がれている場合は十分に機能しません。軽度であれば清掃によって改善する可能性がありますが、内部への固着が進んでいる場合は、金型の分解・オーバーホールや磨き直しが必要です。

POINT 03 再発する場合は金型構造の改造を検討する

ガスヤニを除去してもガス焼けが繰り返される場合は、ガスの排出経路が不足している可能性があります。ガスベントの追加、PL面へのガス溝追加工、入れ子構造への変更、ガス抜きピンやガス抜きアシストユニットの設置など、発生位置に応じた改造を検討することが重要です。

「成形条件を変えてもガス焼けが改善しない」「同じ位置に繰り返し焦げが発生する」「他社製や図面のない金型を改造してほしい」といった場合は、プラスチック金型メンテセンター.COMまでご相談ください。

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