射出成形金型のガスヤニとは?原因・トラブル・除去方法を解説
「金型の表面に茶色い汚れが付着している」
「清掃してもすぐに同じ場所に汚れがたまる」
「ガスベントが詰まって成形不良が起きている」
——こうした症状の原因として考えられるのが、射出成形時に発生する「ガスヤニ」です。
本記事では、ガスヤニが発生する原因、放置した場合のトラブル、除去方法、再発防止のポイントまでを解説します。

射出成形金型に発生するガスヤニとは?

ガスヤニとは、加熱された樹脂から発生する揮発成分や熱分解物が、金型内部で冷やされて固化・堆積した付着物です。金型表面やガスベント(ガスを外部へ逃がすための細い通路)の周辺に、茶色や褐色の汚れとして現れます。
一度に大量に発生するというより、量産を繰り返すうちに薄い付着物が少しずつ重なり、次第に頑固な固着物へと変化していく点が特徴です。
なお、金型のガストラブルには「ガス焼け」(逃げ場を失ったガスが局所的に高温になり、成形品が焦げたように変色する現象)や「ガス腐食」(ガスによって金型表面が腐食する現象)もあり、それぞれ現れ方が異なります。
ガスヤニ発生する原因
樹脂を加熱・溶融する過程で発生した揮発成分や熱分解物が、金型内部を移動する間に冷やされ、金型表面で固まることでガスヤニが生じます。
とくに、ガスが繰り返し通過する場所や外へ抜けにくい場所(ガスベント、キャビティ・コアの表面、パーティングライン、入れ子の合わせ面、最終充填部など)は付着が集中しやすい箇所です。製品面だけを清掃しても、内部やガスの排出経路に付着物が残っていると、短期間で再発することがあります。
ガスヤニを放置すると起こるトラブル
ガスヤニを放置すると、ガスベントが詰まってガスを排出できなくなり、ショートショットやガス焼けなど成形品の不良につながります。キャビティ・コアの製品面に付着すると、その跡がそのまま成形品に転写されることもあります。
また、付着してから時間が経つほど金型表面へ強く固着し、洗浄液だけでは除去できず分解や磨き直しが必要になるケースも増えます。長期間の付着は、金型表面の錆や腐食につながることもあるため、早めの対処が重要です。
ガスヤニの除去方法
ガスヤニの除去は、付着の程度に応じて対応方法が変わります。
軽度な付着であれば、パーツクリーナーやガスヤニ除去用の金型洗浄液での清掃で対応できます。金型材質や表面処理、付着状態に応じて適切な洗浄剤を選ぶ必要があり、キャビティ・コアなど成形品に直接影響する製品面は、傷をつけないよう慎重に作業します。
洗浄だけでは除去できないほど強く固着している場合は、金型表面を磨き直します。磨きすぎると製品寸法や表面状態に影響するため、固着の程度を見ながら作業範囲を判断します。入れ子の合わせ面や金型内部にまで入り込んでいる場合は、金型を分解してオーバーホールを行い、内部の排出経路まで清掃します。
再発を防ぐには
ガスヤニは、固着してから除去するより、付着量が少ない段階でこまめに清掃するほうが、金型への負担やメンテナンスの手間を抑えられます。製品面だけでなく、ガスベントやガス溝、入れ子の合わせ面など、ガスの通り道全体を点検する習慣が有効です。
洗浄や磨き直しを行っても短期間で繰り返し発生する場合は、ガスの排出経路そのものが不足している可能性があります。その場合は、再発防止のための金型改造も選択肢のひとつです。

ガスヤニ除去・再発防止による課題解決事例
三愛テクノロジーでは、金型表面に付着したガスヤニの清掃だけでなく、金型の分解・オーバーホール、磨き直し、ガスの排出経路を確保するための金型改造まで対応しています。ここでは、ガスヤニの固着状態や発生原因に応じて対策を行った3つの事例をご紹介します。
ガスヤニのトラブルは金型全体を見られるメーカーへ
三愛テクノロジーでは、ガスヤニの清掃・磨き直しだけでなく、金型の分解・オーバーホールや、再発防止のための改造提案まで一貫して対応しています。年間100型以上、累計5000型を超える金型の設計・製作実績をもとに、金型全体の状態を見たうえで根本的な対策をご提案しています。図面が残っていない他社製・海外製の金型についても相談可能です。
まとめ
ガスヤニは、加熱された樹脂から発生した成分が金型内で冷やされて固まる付着物で、放置するとガスベントの詰まりや成形不良、金型表面の腐食につながります。軽度であればパーツクリーナーや洗浄液での清掃、固着している場合は磨き直しや分解オーバーホールで対応し、短期間で繰り返す場合はガス排出経路の改造も検討します。付着量が少ない段階でのこまめな点検・清掃が、トラブルを防ぐ一番のポイントです。
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